寄稿

金正則:SNSインサイト解析 事例(1) スターバックス

 

 

客単価でもブランドイメージでも他を凌駕するスターバックス。そのキーインサイトのうち「3.コーヒー好きじゃない人の行けるカフェ」「6.店員に恋して通う」の2つを紹介します。

 

1) キーインサイト 「コーヒー好きじゃない人の行けるカフェ」

例えば、既存のコーヒー店を見直す、これから新しいコーヒーチェーン事業を始めるなどの時に「スタバ」(スターバックス)の存在は無視できない存在です。また直接的なカフェ業態ではなくても、レストランや商業施設はじめ空間を提供する事業者、また高いブランドイメージを構築したい企業にとってスタバブランドの秘密は気になるところです。

通常の消費者調査ではヘビーユーザーやファン層を対象者として設定することが多く、「好きな理由」を追求するのですが、『コーヒー好きじゃない人の行けるカフェ』は、「スタバに行くのはコーヒーが目的ではない」「スタバによく行くけどコーヒーが苦手」など、否定的なニュアンスを含むキーインサイト。SNSだからこそ早く見つけることができたと言えるかもしれません。〔図1〕

このキーインサイトを知ることによって、お店作り、品ぞろえ戦略は、先ずイメージしがちな「コーヒー好きのためのお店」とは大きく違ってくるはずです。

 

2)  キーインサイト 「店員に恋して通う」

スタバのキーインサイトのもう一つは『店員に恋して通う』です。「通っているのは好きなお姉さんがいるから」「お兄さんがかっこよくて好き」、だから「またあの店員に会いたくて」通う。つまり店員とお客の関係のキーインサイトです。〔図2〕

スタバに行くと店員がカップにメッセージや絵をささっと書いて手渡してくれる時があります。そんなサービスやフレンドリーな対応から生まれたインサイト、スタバの隠れた強みの核心(コア・コンピタンス)の一つでしょう。

このキーインサイトは、例えば定量的なアンケートではなかなかとらえにくく、インタビューでも隠されてしまう可能性があるかもしれません。そんな本音が抵抗なく顕わになるのもSNSの特長です。

「これからの戦略を起動する生活者の言葉、本音」というインサイト本来の意味に照らせば、『コーヒー好きじゃない人の行けるカフェ』『店員に恋して通う』に触れて、これからの事業やプロモーションのアイデアが刺激されたなら、それはキーインサイトの名に値することになります。

 

By 金正則〈シンクファーム(株) 代表取締役マーケティングディレクター〉

 

 

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