2020年はコロナ禍の影響で、外出するときはマスクをすることが常識の年になりました。withコロナ、そしてafterコロナにために、女性のマスクとメイクの関係をSNSから探りました。
ツイッターの1ヶ月間(4月17日~5月18日)の「マスク メイク」のヒット数は81,162件、その中から導き出したのは4つのキーインサイトです。ここの価値マップでは「欲求カード」を省略しています。
1) キーインサイト 「アイメイクで頑張る」
このインサイトはメイク市場関係者のみならず、多くの人が気がついているインサイトかもしれません。〔図1〕
当たり前と思わずに、それからどういう欲求が開いて行くのかという目で見ると、チークも出来ないから目元メイクで楽しむという「チーク欠落感」、色々楽しみたくなるという「バリエーション欲求」、そしてカラーマスカラなどの「楽しむ系インサイト」ととらえることができます。
2) キーインサイト 「時短メイクが嬉しい」
次のキーインサイト「時短メイクが嬉しい」は、オールインワン化粧品などコロナ禍以前からある市場トレンドです。〔図2〕
このトレンドは女性の社会進出、忙しく働く女性の増加というメガトレンドに支えられています。このメガトレンドは、市場のみならず社会のあり方を変えてきました。
マスクメイクでの「時短メイクが嬉しい」経験は、withコロナだけでなくAfterコロナにまで影響を与えるキーインサイトの可能性があります。
時短メイクは商品だけでなくメイク方法、売り方まで関係するトータルソリューション・テーマと見ると新しいアイデアが出るかもしれません。
3) キーインサイト 「リップメイクが出来ない」
「マスクをすると→リップメイクが出来ない→メイクのモチベーションが下がる」は化粧品全体に大きな影響を及ぼすインサイト。〔図3〕
その心は「リップメイクが出来なくてしょぼん」というつぶやきによく現れています。
メイクの動機が消失した状態を市場の大きな問題としてとらえ、「メイクの楽しさをどこでどう作り出していくか」、先ほどのネイルとヘアに凝るなども参考に新しい商品、売り場、売り方の提案が求められています。
4) キーインサイト 「スキンケアにウェイト」
コロナ影響下の生活者の視点はスキンケアに向いていきます。〔図4〕
「マスクでの肌トラブル」の中ほどにある「肌もゴワゴワで表情筋も死んでいる」のインサイトにも注目する価値がありそうです。マスクをすることで「表情が失われる」インパクトは化粧品市場のみならずオンラインビジネス市場、飲食市場、アミューズメント市場などでもチェックしておいた方がいいインサイトでしょう。「表情の豊かさ」の価値が浮上する時代が来るかもしれません。
By 金正則〈シンクファーム(株) 代表取締役マーケティングディレクター〉